ポルシェ910のプラモでタミヤの歴史を学ぶ：Camino-Misosoup：SSブログ

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ポルシェ910のプラモでタミヤの歴史を学ぶ　[モデル・カー] [編集]

一時的に自由になったので、発売されたばかりのタミヤの1/12ポルシェ910を買ってきました（買い物くらいは問題ありません）。
元は40年以上前に発売されたキットですが、いまでも傑作として知られています。
うちに昔のキットがあるので比べてみましょう。
上からかつてレギュラー製品だったシリーズNo.3、数年前のスポット再生産品（No.なし）、そして今回リニューアルされたNo.41のキット。

No.3というのはホンダF1、ロータス49に続いての1/12スケール3作目ということです。60年代末のタミヤが世界に認められるようになった時期のエポッックメイキングな製品です。欧米ではタミヤは戦車でなくF1のタミヤとして認知されたのです。
写真で見ると今回のリニューアル品は他の二つとパッケージイラストが違いますが、これが元々オリジナルのイラストです。おそらくNo.3のキットが（番号そのままに）70年代後半にディスプレー専用に模様替えしたときにイラストが代わったのだと思われます。以前のタミヤは頻繁に仕様変更とパッケージ変更をしていたものです。No.41は伝統の「白箱」でないのが個人的には残念。
そして今回のリニューアルで特徴的なのは商品名が「ポルシェ910」に統一されたことです。昔は「カレラ10」が併記されていましたが、この呼び方は日本だけ。今回から910一本に統一したようです。
タミヤがポルシェ910を製品化したのは日本のタキレーシングが実車を所有していたことで実車取材が可能だったということと、68年の日本GPで生沢徹選手が2位に入賞（前年は906で優勝）したことが大きかったと思います。当時、日本ではポルシェ＝生沢でしたから。
1/12スケールのパッケージイラストは67年のニュルブルクリンク1000kmレース優勝車の車番17ですが、廉価版の1/18スケールでは生沢車のイラストが使われています。1/12においては当時から欧州市場をより強く意識していたことが伺えます。
キットの中身を見てみましょう。こちらがNo.3。

タイヤと金属パーツがブリスターパッケージになっていてとても丁寧。ドイツ国旗の色をあしらい、外だけでなく中身もきっちりデザインされています。当時でも高価なキットですので、こういう演出は購入者に満足感を与えてくれます。
そして今では見られない付属の接着剤！

これが再生産品になるとシンプルというか実にビジネスライクな内容。

No.なしの再生産品とNo.41のリニューアル品でほぼ同じですが、No.41はボディーパーツの成型色がアイボリーになっています（実車はアイボリーじゃないのに何故？）。
続いて説明書を並べてみます。左からNo.3、No.なし再生産品、No.41。

No.3は実車の写真が多用されていて丁寧な作りで、ページ数は少ないですが充実しています。

他の二つも説明のイラストはオリジナルをそのまま流用しています。これは再生産品。

最後はデカールの比較。左からNo.3、No.なしの再生産品、No.41。

再生産品では発色の良いシルクスクリーンになり、今回のNo.41ではついにカルトグラフ製になりました。オリジナルは67年のニュル優勝車と68年日本GP２位の生沢車だけでしたが、再生産でタルガのクラス優勝車が加わり、今回は同じレースのクラス2位も追加されました。それより何より生沢車（タキレーシング）の赤いV字ストライプが初めてデカールになったのが大きい！1/18のキットを僕は小学生の時に作ったのですが、当時はセロテープでマスキングして筆で塗ってました（缶スプレーもなかった時代だよ〜）。それと今回はエッチングパーツとシートベルトが初めて付きました。40年を経て初のシートベルトです。
ちなみにパッケージに表記された価格は古いほうから2600円、7500円、9800円となっておりますが、No.3の2600円というのは石油危機以降に何度か値上がりした後のもので、最初に発売された時は1800円くらいではなかったかと思います。長くプラモやってるお陰で、こうしてタミヤの歴史の一端が居ながらに分るってのは我ながら凄いね（笑）。病人のくせに長文で失礼しました。またいつかこの手のネタで書いてみたいと思います。